灼熱の砂漠の記憶。容赦の無い厳しさ。身を隠す岩陰さえない。

非情な審判。弱者は倒れるのみ。風は砂を舞わせ、砂は僅かな隙間にも入り込む。

心の隙にも、少しずつ、確実に砂が溜まる。

砂は隙間を広げ、やがて心は離散する。

それが俺だ。

一滴の液体が、二つの破片を引き寄せる。

もう一滴。さらに、もう一滴。散らばった心は、また一つになる。

辛うじて一つになった俺の心は、再び砂漠の記憶を描く。

今度は、緑に溢れたオアシス。

麗しく、愛おしい人の姿を、描き出す。



河津秋敏

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